独立すれば儲かる?美容師のお金の疑問を徹底解明

2022.04.12

スタイリストになって自分の売り上げが上がってきたのに月収が増えない。そんなとき、「いっそ独立した方が儲かるのではないか」と、雇われている美容師なら誰しもが考えることではないでしょうか。ですが、もし独立しても儲からなかったら……?独立した美容師のお金事情はわからないので、不安になってしまいますよね。今回は雇われるより独立した方が儲かるのか、知られざる美容師のお金の疑問を徹底解明してみました。

 

独立と雇われ美容師、それぞれの年収をみてみよう

まずは雇われ美容師の年収と独立した美容師の年収をそれぞれみていきましょう。雇われ美容師は各店舗で固定給や歩合などの計算がありますが、独立した美容師は売り上げから経費などの支出分を引いた額が収入になります。

 

サロン勤務の美容師の年収

厚生労働省による賃金構造基本統計調査(10人以上を雇用する企業を対象)では2020年の理美容師の平均年収は329万8千円。前年を18万4千円上回りましたが、月で換算すると27万4千円ほど。ただし、平均年齢が38歳のものになります。一般的に美容師の初任給は21万円程度、スキルが上がるにつれて月収も上がることがわかります。それでも初任給を貰ったのが美容学校を卒業した21歳として、今回の統計の27万を貰えるのに17年ものキャリアを積まなければいけません。

 

独立した美容師の年収

独立したら売り上げのすべてが収入ではなく、売上の20%程がオーナーの取り分、いわゆる収入になると考えられます。支出の80%は家賃や材料代、人を雇っていれば人件費として出ていくものです。例えば月に200万円売上があるとしたら、その中の20%なのでオーナーの月収は40万円。ですが、材料費や人件費などの支出が多い店だと20%も月収が貰えないので、それより少なくなります。一概に売上が多いからといって収入が増えるわけではなく、上手に支出をコントロールすることが大切になってくるのです。サロン勤務の美容師の年収の329万8千円を収入にしようと思ったら、20%が収入になるとして1319万2千円の年間売り上げが必要になります。

 

美容師が独立するメリット

年収だけみたときに、意外と独立しても収入が劇的に増えるわけではないのでは……と思った人も多いかと思います。では、なぜ独立する美容師は多いのでしょうか?メリットをご紹介します。

 

自由に 価格設定ができる

メリットのひとつとして、メニューの価格設定が自由にできる、というものがあります。客単価を考えたときに高額メニューが増えればそれだけ収入につながるもの。逆に低単価に設定する場合は数をこなして売り上げを上げる必要があります。どちらにするにしても、自分の意志で自由に決められるのは独立する醍醐味です。

 

店舗の内装が自由

独立して自分の店舗を構える場合、内装を含めお店全体を自分の好みに仕上げることができます。すべて自分の理想とするものを揃えることができるので、モチベーションが上がること間違いなしです。

 

時間も自由

もちろん営業日や営業時間も自由に設定できます。長時間労働、休みが少ないなどが理由で独立したならば、自分の働き方を改善することができるのです。もちろん自由といっても、お客さんの来店しやすさも考慮して考えなければなりませんが、ある程度の融通が利くのでストレスなくすごせるでしょう。

 

美容師が独立するデメリット

メリットをみていたらすごく楽しいことばかりのように思えてきますが、独立するにあたってのデメリットも考えなければいけません。

 

事業計画を考える必要がある

金融機関から融資を受ける際の審査でも重要になるのが事業計画です。独立できたとしてもきちんとした計画がないと軌道に乗らずに金策に苦しむことになりかねません。独立すれば自由が多そうに感じますが、しっかりと将来を見据えての行動が常に大事になってきます。いろいろなところにアンテナを張って乗り遅れないようにしましょう。

 

収入面の保障がない

売り上げが上がれば収入も上がるので、頑張ればその分バックが大きいところが魅力です。ですが、赤字になっても自分が会社のトップになるので収入を保障してもらえることはありません。ダイレクトに売り上げの上がり下がりが自分の収入に反響するので、いつも覚悟をしておく必要があります。

 

雇う場合は管理美容師の資格が必要

「美容師の従事者が2名以上常勤している美容室の開設者は、衛生管理のために美容室ごとに管理美容師を置かなければならない」と美容師法で定められています。そのため、人を雇う場合は管理美容師の資格が必要です。自分が持っていない場合は雇われる人が持っていれば大丈夫。ですが、ずっと働き続けるかはわからないので、自分自身で取得するほうが安心でしょう。

 

美容師が独立して儲かるためにする3つのこと

独立したいけど儲かるか不安、そんな人のために独立後に上手くいく方法をご紹介します。どれも普段のサロンワークの延長でもあることなので、意識して取り組んでいきましょう。

 

技術力アップ

当たり前のことですが、腕がいいのと悪いのでは集客に影響がでます。美容師の技術は日々進化しており、常に新しいものが発信されています。独立したからといって、勉強を怠ってはいけません。技術力の向上は美容師にとっては永遠のテーマです。お客様に安心してきていただけるように、技術力を高めていきましょう。

 

経営の手腕を上げる

技術力だけでなく、独立したら経営の手腕も大事になっています。いわゆるマーケティングが上手だと、同じ技術力でも集客に違いが生まれるのです。どんな客層を狙うかによっても方法は変わってきます。若い人が多いならSNSに力を入れるのもおすすめです。どんな風にすればお客様がきてくれるか、常に考えながらそして情報収集をしながら務めましょう。

 

常に向上心を持つ

これは様々なことにも言えますが、これでいいやと現状で満足するのは危険です。今、売り上げが伸びていても、次の月は赤字かもしれません。よい結果がでても常に改善点やなぜよかったのかを洗い出し、また次につながるように道筋をつくることが成功する人の考え方です。向上心を忘れずに、日々すごしていきましょう。

 

独立するときのお金の注意点

独立するにあたって、一番心配なのがお金のことではないでしょうか。ここからは独立するのに必要なお金関係の注意点をまとめてみました。

 

資金調達

独立するにあたり、まとまったお金が必要になります。一般的に美容室の開業資金は1000万程。シェアサロンの場合は店舗も場所もはじめから用意されているのでそこまでの金額はいりませんが、内装のカスタマイズなどにこだわりたい人は数百万程度かかることもあるでしょう。自己資金で貯めているならば問題はないですが、多くの人が不足分を借入して開業しています。資金調達先には金融機関や自治体など様々ですが、金利や条件などが異なるため自分に合ったところを探しましょう。

シェアサロンの場合は店舗も場所もはじめから用意されているのでそこまでの金額を用意することなくフリーランスとして独立することが可能です。開業資金を貯めるためにフリーランスとしてシェアサロン契約する方も多いようです。

 

税金の手続き

個人事業主となるので、住民税や所得税、国民健康保険税が発生します。また、地方税として個人事業税も納めなくてはなりません。基準期間の課税売上高が1000万円以下なら消費税は開業してから2年間は免除されるのですが、その後は発生します。今までは会社がやってくれていた手続きを自らが理解してやっていくことになります。自分では難しい場合、税理士や社労士に委託することも可能です。

 

キャッシュを確保しておく

美容室を開業したからといって、常に売り上げが黒字になるとは限りません。赤字になっても開業時に借入したお金や経費など支払いは必ず発生していきます。そんなときに手持ちのキャッシュが全くないと、どうしようもありません。いくらか多めにキャッシュを持っておくことで、万が一の場合でもやりくりしていけるでしょう。

 

こんな美容師は独立して儲かる?疑問を解決しよう

本当に自分は独立しても大丈夫なのか、様々な疑問があることかと思います。雇われていたときはできなくても、独立したら自ら頑張るしかなくなるので克服できるかもしれません。ちょっとした疑問でも解決しておくと、自信を持って開業できるでしょう。

 

長く同じところで働けない

同じ店で続かない、という人は何が理由でしょうか。人間関係ならば独立して一人で営業することで解消されますし、店のスタイルと合わないのであれば独立すれば自分の好きなスタイルで勝負ができます。そういった意味では、今まで雇われていて長く働けなくても問題はありません。ただし、一度自分でお店をはじめたら雇われているときのように簡単には辞められません。しっかりと事業計画をたて、向上心をもって取り組んでいきましょう。

 

斬新で奇抜なスタイルが好き

奇抜なスタイルが好きな人は限られています。ですが、万人受けしないから儲からないわけではありません。好きな人はとことん好き、そういう点では唯一無二の存在に慣れる可能性も。ターゲットを絞ったお店作りをすると、需要が高まるかもしれません。

 

物販の販促が苦手

客単価を上げるうえで物販は欠かせないポイントです。一人ひとりが1つでも商品を買ってくれたら、それだけでかなり売り上げに貢献できるのです。ですが、苦手な人は正直売る行為自体がストレスになってしまいますよね。物販のノルマが嫌で独立して自由になろうと考える人もいるのではないでしょうか。そんな人は、あくまで物販はおまけとして、売れたらラッキーくらいの心構えでも大丈夫です。自然におすすめできるアイテムを自ら探せるのも独立の魅力なので、売りたいものを探してみましょう。

 

まとめ

独立することで、全責任を自分で負うことになります。売り上げをどんどん伸ばしていく軌道づくりをしっかり考えた上で、独立に向けて準備をしましょう。美容技術はもちろん、経営の勉強も欠かせません。常に先を見据えた行動でお金の心配を減らしましょう。

 

監修者:珠実

日本最大級のシェアサロン GO TODAY SHAiRE SALON 取締役であり、現役美容師でもある。サロンワークのほかにもセミナー講師、人材育成など幅広く活動。

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この記事を書いた人

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